センス・オブ・ワンダー|未完成の物語

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読書のキロク

『沈黙の春』をまだ読んだことのないあなたに読んでほしい。

そうでないと、先入観が勝ってしまってこの物語の良さが半減してしまうような気がするから。

この本、未完成なんです。
わずか40ページほどの未完成の物語と、140ページにわたり書き継がれた、正解のない物語。

私がはじめてこの本を読んだのは、続きのない状態のとき。
書店でパラパラとめくってみたものの、イマイチぴんとこなくてそのまま返却。

先日、書店で筑摩書房からハードカバーで、新訳で出版されているのを見かけてにとり、その厚みに驚いた。

「あれ、この本、こんなに文章量あったっけ?」

そのハテナの正体はすぐにわかることになった。
パラパラとめくったところに「僕たちの『センス・オブ・ワンダー』」という新しい章があった。

その「僕たちの『センス・オブ・ワンダー』」の書き出しを読んで、これは、絶対読むべき本だと確信。

ほんのり抽象的で、漠然としていて、自然を舞台にした壮大な物語。

それが、日本、いや、京都、いや。
自分と同じくらいの「等身大のひとり」からみた景色として、続きが書き継がれている。

「センス・オブ・ワンダーとはこういうことか」を感じた先に、私はこの世界が、ほんの少し愛おしくなった。

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本について

概要

書名   センス・オブ・ワンダー

著者  レイチェル・カーソン / 訳・森田 真生 

出版社 筑摩書房 

発行   2024年3月23日

ジャンル 海外小説

版型   単行本(ハードカバー)

ページ  184

価格   1980円

ISBN  978-4480860965

作者

レイチェル・カーソン:1907-64
アメリカの生物学者。研究の傍ら、大ベストセラー作家に。1962年公害問題を『沈黙の春』で厳しく告発、環境問題の嚆矢となる。『センス・オブ・ワンダー』は1956年に雑誌発表、未完のままに死後単行本化された。ほか著書に『潮風の下で』『われらをめぐる海』『海辺』などがある。

森田真生( もりた・まさお )
1985年生まれ。独立研究者。京都を拠点に研究・執筆の傍ら、ライブ活動を行っている。著書に『数学する身体』で小林秀雄賞受賞、『計算する生命』で第10回 河合隼雄学芸賞 受賞、ほかに『偶然の散歩』『僕たちはどう生きるのか』『数学の贈り物』『アリになった数学者』『数学する人生』などがある。

うらすじ

生きることを歓び、分け合い、育む。生の源泉にあるものとは。世界的ベストセラー待望の新訳、さらにその未完の作品を、いま京都から書き継ぐ。

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