読書のキロク
私が今日、贈るあなたは、きっとこの本の登場人物たちとは真逆。
もしも自分とかけ離れた存在のように感じても、文字だけの世界だとしても。
まるでその人が同じ職場や同じ家に、そこにいるかのように感じると思ったし、感じてほしいから選んだ1冊。
恋ゆえの、若さゆえの上滑りなんてない。
甘酸っぱい青春モノでもない。
奥底まで沈むようなあたたかな愛を感じる物語。
「大切」の言葉を辞書で引くと、大抵こんな言葉が並ぶ。
「もっとも必要であり、重んじられるさま」
「丁寧に扱って、大事にするさま」
そんな辞書に載った言葉の意味以上に、人それぞれの「たいせつ」があるのだと、自分自身の「たいせつ」を考えさせられる本。
本について
概要
書名 あなたは、誰かの大切な人
著者 原田 マハ
出版社 講談社文庫
発行 2017年5月16日
ジャンル 小説・エッセイ
版型 文庫
ページ 224
価格 704
ISBN 978-4062936606
作者
原田 マハ(ハラダ マハ)
1962年、東京都生まれ。関西学院大学文学部日本文学科、早稲田大学第二文学部美術史科卒業。伊藤忠商事、森美術館設立準備室、ニューヨーク近代美術館に勤務後、2002年にフリーのキュレーターとして独立。’03年にカルチャーライターとして執筆活動を開始し、’05年に『カフーを待ちわびて』で第1回日本ラブストーリー大賞を受賞。’12年『楽園のカンヴァス』で第25回山本周五郎賞を受賞。芸術に関する描写力と情熱、ミステリーとしての魅力が高く評価された。著書に『夏を喪くす』『風のマジム』『太陽の棘』『本日は、お日柄もよく』『暗幕のゲルニカ』『サロメ』などがある。
うらすじ
勤務先の美術館に宅配便が届く。差出人はひと月前、孤独のうちに他界した父。つまらない人間と妻には疎まれても、娘の進路を密かに理解していた父の最後のメッセージとは……(「無用の人」)。歳を重ねて寂しさと不安を感じる独身女性が、かけがえのない人に気が付いたときの温かい気持ちを描く珠玉の六編。