最後の恋―つまり、自分史上最高の恋。|あえて、まずはこっちを読んでほしい

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読書のキロク

学生の頃、足繁く図書室に通っていた私。

卒業式で表彰されるくらいには通っていたし、暑い日も寒い日も入り浸っていたけれど、今の私が決まって思い出すのは雪が降るほど寒い日に、石油ストーブの匂いと炎の音がする図書室。

渡り廊下を渡った先、さらに外を歩いた別館にある図書室。

かじかんだ指先で本の角をクイっと引っ張る。

そのときに手にとった1冊がこの本。決して恋多き乙女ではなかった私は「恋愛なんて最初で最後」と思うほど純粋な子で、そのときはすぐに戻してしまったのだけれど。

クリスマスを前に書店に寄ると、ふと、目に止まり、今、読みたいと思った。

パラパラとめくると、そこには手のひらの上でじんわりと雪が溶けるような、そんな柔らかなあたたかさを感じた。

少し読み進めて「私じゃないな」と思った。

そう、これは、この季節のあなたに読んでほしいなと。

実はメンズver.もあるのだけど、それはまた別の機会に。今は、クリスマスだから、こっち。

本について

概要

書名   最後の恋―つまり、自分史上最高の恋。

著者   阿川 佐和子 / 沢村 凜 / 三浦 しをん / 柴田 よしき
     乃南 アサ / 谷村 志穂 / 角田 光代 / 松尾 由美

出版社  新潮文庫

発行   2008年11月27日

ジャンル 小説・エッセイ

版型   文庫

ページ  352

価格   737

ISBN  978-4101201238

作者

阿川佐和子(アガワ・サワコ)

1953(昭和28)年東京生れ。慶應義塾大学卒。報道番組のキャスターを務めた後に渡米。帰国後、エッセイスト、小説家として活躍。『ああ言えばこう食う』(檀ふみとの共著)で講談社エッセイ賞、『ウメ子』で坪田譲治文学賞、『婚約のあとで』で島清恋愛文学賞を受賞。その他の著書に『スープ・オペラ』『うから はらから』『ギョットちゃんの冒険』『聞く力』『叱られる力』などがある。

角田光代(カクタ・ミツヨ)
1967年神奈川県生れ。1990年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。1996年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、2003年『空中庭園』で婦人公論文芸賞、2005年『対岸の彼女』で直木賞、2006年「ロック母」で川端康成文学賞、2007年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞、2011年『ツリーハウス』で伊藤整文学賞、2012年『紙の月』で柴田錬三郎賞、『かなたの子』で泉鏡花文学賞、2014年『私のなかの彼女』で河合隼雄物語賞、2021年『源氏物語』(全3巻)訳で読売文学賞(研究・翻訳賞)を受賞。著書に『キッドナップ・ツアー』『くまちゃん』『笹の舟で海をわたる』『坂の途中の家』『タラント』他、エッセイなど多数。

沢村凜(サワムラ・リン)
1963(昭和38)年、広島県生れ。鳥取大学農学部卒。1991(平成3)年、日本ファンタジーノベル大賞に応募した『リフレイン』が最終候補となり、デビュー。1998年『ヤンのいた島』で第10回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。おもな著書に『瞳の中の大河』『あやまち』『黄金の王 白銀の王』『脇役スタンド・バイ・ミー』『猫が足りない』などがある。

柴田よしき(シバタ・ヨシキ)
東京生まれ。1995年、『RIKO―女神(ヴィーナス)の永遠―』で横溝正史賞を受賞。受賞作の主人公である村上緑子は、従来の女性刑事のイメージを一新したキャラクターとして人気を獲得した。以後、村上緑子シリーズの他、京都を舞台に壮大なスケールで展開する伝奇小説「炎都」シリーズ、猫を主人公にした猫好き必読の本格推理小説「猫探偵正太郎」シリーズ、保育園の園長が実は探偵という「花咲慎一郎」シリーズなど、ジャンルを超えて、意欲的なエンタテインメント小説を発表し続けている。近著に、『愛より優しい旅の空』『あおぞら町 春子さんの冒険と推理』『青光の街(ブルーライト・タウン)』『猫は毒殺に関与しない』など、他に『ワーキングガール・ウォーズ』『やってられない月曜日』『激流』『クロス・ファイヤー』など精力的な著書が多数。

谷村志穂(タニムラ・シホ)
1962(昭和37)年、札幌市生れ。北海道大学農学部で動物生態学を専攻。1990(平成2)年、ノンフィクション『結婚しないかもしれない症候群』で、女性を中心に大きな支持を集める。1991年、『アクアリウムの鯨』を発表し、小説家としてデビュー。2003年、『海猫』で、島清恋愛文学賞を受賞。『十四歳のエンゲージ』『シュークリアの海』『アイ・アム・ア・ウーマン』『黒い天使になりたい』『余命』『黒髪』『雪になる』『みにくいあひる』『スノーホワイト』『冷えた月』『いそぶえ』『ボルケイノ・ホテル』『大沼ワルツ』『移植医たち』『セバット・ソング』などの作品がある。

乃南アサ(ノナミ・アサ)
1960年、東京生れ。早稲田大学中退後、広告代理店勤務などを経て、1988年に『幸福な朝食』で日本推理サスペンス大賞優秀作を受賞し、作家活動に入る。1996年に『凍える牙』で直木三十五賞、2011年に『地のはてから』で中央公論文芸賞、2016年に『水曜日の凱歌』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。他に『鎖』『嗤う闇』『しゃぼん玉』『美麗島紀行』『六月の雪』『チーム・オベリベリ』『家裁調査官・庵原かのん』など、著書多数。

松尾由美(マツオ・ユミ)
1960(昭和35)年、金沢市生まれ。お茶の水女子大学卒。会社員を経て作家に。1989(平成元)年に『異次元カフェテラス』を刊行。1991年「バルーン・タウンの殺人」でハヤカワSFコンテストに入選する。SF的な設定から日常に潜む謎まで、幅広い作風で知られる。他に「ハートブレイク・レストラン」シリーズ、『雨の日のきみに恋をして』『九月の恋と出会うまで』『モーリスのいた夏』『ぼくと猫と満月の夜』『わたしのリミット』『サトミとアオゲラ探偵』『嵐の湯へようこそ!』などの作品がある。

三浦しをん(ミウラ・シヲン)
1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○(まる)』でデビュー。2006年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞、2012年『舟を編む』で本屋大賞、2015年『あの家に暮らす四人の女』で織田作之助賞、2018年『ののはな通信』で島清恋愛文学賞、2019年に河合隼雄物語賞、2019年『愛なき世界』で日本植物学会賞特別賞を受賞。そのほかの小説に『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』など、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』など、多数の著書がある。

うらすじ

もはや、少年少女が出会うような、初々しい恋じゃない。
変わらない恋心なんてない、そんなのとっくに知っている。だけど……。
大人になっても「こんなの初めて」ってあったんだ。
すれ違いや別れをくり返してきた彼らだけが知る、「最初で最後」のかけがえのない瞬間たち。
8人の作家が描き出す、経験してきたすべての恋を肯定したくなる珠玉のアンソロジー。

最後の恋、それはつまり、自分史上最高の恋。

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